いきなり・がいな伝説

方言・がいな

がいな」、という方言の使用ははごく限られた地域だと
思っていたが、日本各地に分布していることが判明した。

がいな事やが。

手がかりはずっと昔「半ソデ君」でした。感謝、感謝。

宇和島方言辞書の入り口

『小学館・日本国語大辞典』 より 執筆・元千葉大学 大岩正仲 先生
(資料提供・半ソデ君)

が・い【我意・雅意】 は引用文献

●【名】@自分の心、また、常の志、 中略 ▲山城神護寺文書(年不詳)(鎌倉)6月11日・文覚書状(鎌倉遺文2・918)「大師の御雅意にもたかひ、大菩薩御本懐にもあらぬ事に候也」 − 以下略 

A(形動)自分の考えを押し通そうとする心。気ままな心。自分勝手な考え。またそのような様。勝手気まま。我がまま。▲源平盛衰記(14C前)三・左右大将「偏(ひとへ)に太政入道の雅意(ガイ)の所業也」−中略−▲日葡辞書(1603〜04)「Gaina(ガイナ)、または gaina(ガイナ)モノ〈約〉わがままな人。自分の意見を保持する人。領主や父母に対し、あまりうやうやしくしない人」 ▲夜明け前(1932〜35)〈島崎藤村〉第二部・下・14・2「家のために親戚の諫めを用ひ我意を主張すべからざる事」

●A【形動】程度が標準よりぬきんでているさま。良い意味ににも悪い意味にも用いる。けた外れなさま。▲史記抄(1477)13・黥布列伝「高祖はいかい志ぞ、項羽はがいなものぞ」▲雑兵物語(1683頃)上「がいに働いて、息が切(きれ)べいならば」▲歌謡・落葉集(1704)四・馬場先踊「まつは豊かに大手馬場先繋ぎ馬、がいに冷たい今朝の雪」 ▲洒落本・浪花色八卦(1757)槍扇掛「なんぼの鉢呑み今にわすれぬわいな、どうぢゃ河堀(こぼり)へ御出たかと、がいなる事をいふを専らにして」▲浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)「ヱヱ此座敷はがいにすべってあるかれぬ」

★(1)「我意」「雅意」ともに中国古典に用例が見られ、それぞれ「自分の心持」「平素の心、風雅な心」の意で用いられている。しかし、日本では、いずれも「自分の考えを通そうとする心」の意で、マイナス評価を伴った語として用いられるようになり、殊に小見出しに挙げた「−に任す」という句形は「自分の考え通りにする」意であり、非難されるべき行為として認識されていたようである。

(2)室町期の抄物等には、仮名書きの例が現れ、多くは「ガイナ」「ガイニ」の形で、程度の甚だしいさまを表す。これは現代でも各地の方言で用いられている。

【各地の方言】

@程度の甚だしいさま。たいそう。たいへん。ひどく。

北海道松前、仙台「がいに痛む」駿河、青森県三戸郡、岩手県盛岡市、岩手県上閉伊郡(かみへいぐん)「がいなことはない(たいしたことはない)」宮城県登米郡 山形県「あえづ、がいにあらえ(彼は並はずれて強い)」 新潟県佐渡「がいをったれせう(お困りでしょう)」東蒲原郡 富山県 静岡県「がいに生意気なことを云うな」 名古屋市 三重県「うれきゃ、がいなもんじゃにゃー(ほほう、たいしたもんだねー)」 兵庫県但馬 淡路島 奈良県吉野郡 和歌山県 鳥取県西伯郡 島根県 岡山県苫田郡 児島郡 広島県 徳島県 香川県 愛媛県大三島 宇和島市 高知県 大分県南海部郡 速見郡(「がいと」の形で)
げえ 信濃国下水内郡「東西の村々、雪が垓(げい)に家も埋む斗り」 青森県「げぇだ大き凧だなぁ」山形県東田川郡「こどしあだりだば、げ−ねげしくで(今年などは、随分にぎやかにして)」庄内 栃木県 群馬県吾妻郡 長野市 岐阜県大垣市 和歌山県東牟婁郡 愛媛県 げ 青森県上北郡 秋田県鹿角市「あんまりげに」 げぁ 青森県三戸郡 岩手県九戸郡 秋田県「あんまりげぁに喰ったのだよ」 ◆がぇえ、ぎゃあ 静岡県志太郡「がぇーにいばりゃーがる」「ぎゃーにお世話だ」 ぎゃい 香川県 丸亀市「この道はぎゃいにまわらんないかんきんな」 があい 愛媛県周桑郡 がう 長野県北安曇郡 

Aたくさんのさま。また、大勢いるさま。

青森県三戸郡 宮城県牡鹿郡 福島県 茨城県久慈郡・稲敷郡 東京都利島 大島 新潟県 富山県中新川郡・下新川郡 山梨県 愛知県知多郡「客ががいにあった」 三重県南部 和歌山県 鳥取県 岡山県 徳島県 香川県 愛媛県「がいにひとん集まっち居るけん、ぢきわからや(たくさん人が集まっておりますから、すぐにわかりますよ)」 大分県  げえ 福島県「そおだにわけてげぇだ、少し残しておごれ」 茨城県多賀郡 栃木県 群馬県利根郡 千葉県香取郡 長生郡 新潟県中魚沼郡 南魚沼郡 山梨県 

B大きいさま。また、ぎょうさんなさま。

 千葉県上総 香取郡 富山市近在 三重県 和歌山県 鳥取県「がえな大根が出来た」 広島県比婆郡 愛媛県「こんどら、がいなことを始めとるけに」 がう 長野県安曇郡 ぎゃあび 高知県「ちっとびゃーわーりーのに、ぎゃーびーなことゆーな(少し体の具合が悪いだけなのに、ぎょうさんなことを言うな)

C乱暴なさま。手荒いさま。不作法なさま。また、無理にするさま。

 山形県 新潟県「そんなにがいにしばるな」 名古屋市 三重県「がいにする(乱暴にする)」 大阪府泉北郡 和歌山県 島根県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 長崎県対馬 大分県宇佐郡 北海部郡 があい 和歌山県東牟婁郡 がいい 和歌山市「そないがいいなことせいでもええやないか」 げえ 新潟県 長野県 「げーに握った」 和歌山県東牟婁郡 長崎県 ぎゃあ 京都府竹野郡「何をやらしてもぎゃあなことをする子だ」 長崎県松浦郡 きゃあ 長崎県佐世保市「きゃあなか(わんぱくである)」

D(「我意」か)強情なさま。わがままであるさま。 

以下管理人コメントじゃ

改めて言うまでもないが、がいな=形容詞=すごい  がいに=形容動詞=すごく

肯定的、否定的、両方に使われる

例-あいつは「がいな」やつやが

  肯定的=あの人は、すごい(良い意味で)人だ。
  否定的=あの人は、すごい(悪い意味で)人だ。

がいに、の使用例
がいに暑い、がいに寒い がいに高い がいに安い がいに走った がいにたまげた

うーん、香川県、岡山県、鳥取県、和歌山県では使われていることは知っていたが思ったよりも多くの地方で使われている(らしい。)これは辞典から引用なので、使われていないところがあるかも知れないが、そのへんはご容赦を。


 
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